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<みうらのま> 報告: 「井上達夫、小沢一郎 憲法、そして民主政治を語る」(2016年10月27日於憲政記念館)

 最初に人選を聞いた時から「これは」という予感があった。果たして期待を上回る内容の濃さで、二人を出会わせてくれた主催者に感謝、感謝。
 この気持ちをシェアしたく、以下、ご報告です。


 憲法について
 立憲主義と民主主義は突き詰めると矛盾がある。民主主義は多数決、しかし、多数決(大衆)は時々、判断を間違えるので、憲法によって国家の暴走を防ぐ。だがその憲法も、立法府と国民選挙によって改憲可能である。このため、憲法は「一括では」変えられないことになっている。
 従って、自民党が憲法草案をまるごと採用させようとすれば、それはクーデター。(井上氏)
 護憲だ改憲だという議論はくだらない。天皇も9条も最終的には国民が決めること。法制審議会は法案について審査する内閣の一部局でしかなく、本来は憲法を審査する場所ではない。思い上がってる。また、解散権が総理にあるようにいうが、解散は不信任案に応えてするべきもので、総理の自由裁量という考え方は間違っている。(小沢氏)


 小選挙区制について
 55年体制がそうであったように、コンセンサス社会というのは、少数者が同調圧力に負けて意見できない空気を作りだし、当責性(当事者責任性?)を曖昧にしてしまう傾向をもつ。経済成長が見込めないゼロサム社会においては「分配正当性」が問われるわけだが、これは正解のある問いではないため、国民が為政者の降板を判定できるよう責任が明確化されていなくては、ならない。つまり、これからはコンセンサス社会では立ちいかない。(井上氏)
 55体制が成り立つことができたのは、経済成長の時代だったから。冷戦後の時代は、責任をもって政策を実行して、国民の判断でいつでも、政権交代ができる構造、つねに政党間が緊張感をもって対峙する社会が必要。(小沢氏)


 国連について
 能力が不十分というが、国連を否定したら、大戦前に逆戻りするしかなくなってしまうではないか。PKOは現存する唯一の国連軍。そこでは自衛隊の指揮権は国連に手渡すべき。PKO法案の多くの欠陥は、国連中心主義を明確にすることで完成する。(小沢氏)
 湾岸戦争で「自衛隊の指揮権は国連に手渡すべき」まで言い、イラク戦争では自衛隊派遣を反対した小沢氏は一貫している。前者は国連としての多国籍軍、後者は米国の戦争だから。そんな政治家は小沢一郎、一人しかいなかった。集団的自衛権と集団安全保障は言葉は紛らわしいが、大きく異なる。ひとたび紛争が起きたとして、前者は戦火を拡大させるが、後者は縮小させるという意味において、正反対。(井上氏)



以下、感想です。

 感想 「憲法の正統性(レジティマシー)」
 「憲法は法律の法的根拠だ」というロジックは「それでは憲法の根拠は?」という話になってしまう。憲法は権力の正統性を保証するものだ。。という井上氏の説明、急ぎ足だったので、いまいち、ピンとこなかった。


 感想 「ここまで来ちゃった以上、しかたがない」症候群
 「昔の開戦も終戦もそうだったでしょ」(小沢氏)。うむ、市場から撤退できなくなったGPIFとか、金融政策では効果が上がらないでわかってきても引き返せない黒田バズーカとか、安保法制の後、南スーダンの自衛隊派遣をめぐって改憲賛成が増える傾向とか、現在もあらゆる場面でそうなりつつあるかも。井上氏の戦力統制規範の不在ていう指摘を敷衍すれば、南スーダンで日本の私生児みたいな状態の自衛隊に死者が出れば、一気に9条改正の流れになるはず。その時には、安保法案に過半数が反対していた世論も、「ここまで来ちゃった以上、しかたがない」て考えるだろう。しかも、その時、その状況で、井上氏が主張するような、理性的改憲案や議論など、できっこないのは、イスラム国に後藤健二さんが殺された時を思い起こせば、確信をもって予想できる。くわばら、くわばら。


 感想 小選挙区制
 冷戦後の世界で政党はかつてのネゴシエーションによるコンセンサスとは異なる、責任を明確にした緊張感のある関係が必要であることは理解し、諒とする。パンドラの箱が開いたような世界情勢のなか、ぬるま湯の与野党関係を継続すれば、国家は座して死を待つより他はなかったかもしれない。
 しかし、ぬるま湯から立ち上がって走り出すからには、目を開け周囲を見渡せなくてはならない。小選挙区制導入に際して、果たして政治家や国民にその認識はあったんだろーか。「だからこそ、国民の自覚が必要だ」などという「べき論」ではなくシステム論として。
 小選挙区制の導入で期待された「緊張感」は、どこに作用したのだろうか。政党間の議論は深まっただろうか。
 ある種のルール変更はゲームを根本から変えてしまう。安倍政権の国会運営は強行採決の前菜として、中傷し、ウソをつき、論点をぼかし、時間を浪費する。国会での緊張感は、いかに議論を避けられるか、に費やされているようにみえる。
 きっと彼らはこう思ってる。国会?そんな所で勝負するより、それが国民に届けられるための媒介(メディア)をコントロール下に置けば、国民の印象操作など自由自在だ。世論の動向はビッグデータにもとづきリアルタムでモニタリングしている。微修正を繰り返しながら機を見て解散すれば、政権を手放す日など、永遠にやって来ないだろう、と。
 その結果、ビクビクする緊張感が増したのは政治を報じるメディアであり、緊密度が増したのはビッグデータを持ち、メディアを操る電通との関係だったり。
 この行動指針は、旧ルールのもとでは不正でも、新ルールのもとでは不正ではなく合理的視点から見れば正しい指針であること。これを認めず、政治倫理や道義的見地から政権批判しても的外れで、例えていばサッカー、負けたチームの監督が「オフサイド・トラップは卑怯だ」とか「審判が公正なジャッジをしていない」とコメントするようなもの。そんなものはボヤキであって、戦略ではない。
 「政党である以上、政権を取ることを目指さなければ、なんにもならない」のであれば、なおさら。


以上
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コメント
No title
いまさら、ですがご報告。
TPP国会に駆けつけられない気持ちを、こんな形で。。
2016/11/04(金) 16:34 | URL | みゅらま #LkZag.iM[ 編集]
No title
小沢一郎の安保問題に対する考えはブレない。そこに真の正当保守主義者の面目躍如たる存在価値ガある。やっと社共も理解できたような雰囲気だが、身近なところで論議を始めるしかない、か。
2016/11/07(月) 16:53 | URL | 多摩の風 #-[ 編集]
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