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<みうらのま> 刑事訴訟法改悪一括法案

 国会で審議中の刑訴法改正に反対するため「盗聴・密告・冤罪NO! 院内集会Ⅱ」に参加してきた。安保法制に隠れがちだけど、こちらも劣らず、かなりヤバイんじゃないかと。
 安倍政権のヤバさは、個別的に追求しても屁理屈ばかりで時間の無駄になる。樹木医ではない私達シロウトは、樹を見ず森を見た方が理解し易い。
 防衛庁(を省に)格上げ、原発再稼働、TPP爆進、国家安全保障会議、秘密保護法、(背広組と制服組を対等にする)改正防衛省設置法、武器輸出解禁、オスプレイ配備、教育改革、派遣法改正、国立大学への国歌斉唱の要請・・・、数え始めたらきりがないほどの危険がいっぱいの広大な森。これが1枚の絵として見えなければ離人症の診断を受けた方がいい。
 そして平野翁が問題を指摘する流行りの「一括法案」で提出された刑事訴訟法改正案も、間違いなく、この森の巨木の一本になるはずた。

 フロッピー前田の「郵便不正事件」の前後に、氷見事件、志布志事件、足利事件、布川事件、他にも痴漢事件など、冤罪の総合商社と化した検察による「取り調べや調書に過度に依存した捜査・公判のあり方の見直しと取り調べの録音・録画の導入など」を検討するため、民主党政権時代(江田五月法務大臣)に設置された法制審議会による、驚きと脱力の「改正案」。以下がその問題のポイント。

・盗聴法拡大
 これまで4種類に限定されていた対象犯罪に、ドカっと9種類が追加されて、「盗聴の歯止め」と説明されてきた「民間人の立ち会い」は不要になるそうだ。こんなのが一括法案の「一部」として、すんなり通るのなら、十数年前の盗聴法成立の大騒ぎは、なんだったのさ、て話。

・司法取引
 他人の犯罪をしゃべれば自分の犯罪が軽くなる特典がつくそうだ。画期的過ぎて、鳥肌たっちゃう。だって、美濃加茂市の冤罪事件みたいな闇司法取引も合法化されちゃうてんだから、考えるまでもなく冤罪の温床になりそうなシステムでしょ。ニュースでは枕詞のように「米国などで取り入れられている」て説明されるのを何度も聞いたけれど、案の定、その米国では、死刑冤罪事件の45.9%が、司法取引による誤った証言が根拠になっていたそうです、て話。

・取調べ「一部」可視化
 取調べ「完全」可視化は改正案の目玉になっていた印象だけれど、結果は「一部」可視化。検察が製作総指揮を手掛ける録音・録画が、冤罪「防止」ではなく「推進」に繋がることは子供でも分かる。しかも、対象となる犯罪は全体の3~5%て消費税かよ、て話。

 ほかにも、証拠開示や人質司法など指摘された問題はあるのだけれど、この脱力の「改正案」に対して、審議会のメンバー(郵便不正「冤罪」事件の被害者)である村木厚子さんが「僅かでも前進できた」と評価している所が、審議会の闇の深さを物語っている。
 加えて、当の(郵便不正「冤罪」事件の加害者である)フロッピー前田がこの法案に「「取り調べの全面可視化、証拠の全面開示が進まなければ冤罪が生まれたり、捜査が真相から遠ざかっていく危険がある」と警告しているのは、官僚の業の深さを物語っている。
 ついでに、日弁連の会長がこんな法案を「改革が一歩前進したことを評価し、改正法案が速やかに成立することを強く希望」している所は、日弁連のムジナ体質を物語っている。ちなみに下部組織である全国52の弁護士会のうち22の会が反対声明を出しており、こんなことは異例で「非常に勇気のある行為」なのだそうです。

 正直言って私には、なぜこの法案で(改正の契機となった)フロッピー前田の証拠改ざんの再発防止になるのか、さっぱりわからない。
 たとえば、闇司法取引の歯止めとして、虚偽供述への罰則も盛りまれたというけど、村木厚子さんの事件では、検察側証人が次々に取り調べ段階の証言を翻したわけで、こんな「歯止め」があったら、村木さんは間違いなく敗訴していた。
 「焼け太り」というなら、どこかに焼跡がありそうなものだけれど、改正案からは髪の毛の一本も燃えた形跡が見られないのが、もどかしい。努力した村木さんには悪いけど、こんなのが成立しちゃったら、「一歩前進」どころか、数年後には「一〇〇歩後退でした」てなる悪い予感しかしない。

 何でそんなことになっちゃうのか?審議会のメンバーである映画(「それでもボクはやってない」の)監督、周防 正行さんが著書でこの様子を正直に伝えている。これを読んだので、私は一般市民の代表として審議会に参加した人たちを責める気にはなれない。霞ヶ関の卑劣な人格と手法の数々が具体的に記述してあるにも関らず、義憤や怒りよりも、瞑目し「ナムアミダブツ」と唱えたくなるような、読後感。
 同書から、審議会全体を象徴するような部分を引用して終わります。

 郵政不正事件をきっかけとして設けられた「検察の在り方検討会議」の提言を受けての会議なのだから、当然「捜査機関の不正」や「誤判・えん罪」をどう防ぐかにフォーカスすべきものであったはずだ。しかし、会議は「誤判・えん罪を起さないための刑事司法特別部会」ではなかった。「新時代の刑事司法制度特別部会」という名称は、明らかに焦点をぼかすネーミングだ。それが法務省の思惑だったのだろう。
 (
「それでもボクは会議で闘う――ドキュメント刑事司法改革」より)


おしまい。
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コメント
No title
為政者は「正」の世論を逆手にとって「負」の法を作る。火事場泥棒というべきこうした手法で世の中はますます牢獄のような世界に。官僚主導の民主主義の本質かも。
2015/08/05(水) 11:11 | URL | 多摩の風 #-[ 編集]
No title
やっぱり「泥棒が自分を裁く裁判官になる」的なことになってしまうんですね。
真の第三者による検討機関を作れるにはどうすれば…
2015/08/05(水) 12:53 | URL | anndue #-[ 編集]
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