「国民の生活が第一、自立と共生、政治の根本について多摩地区で議論する広場」

<みうらのま> 総理のお言葉

たとえば、こんなふうに言われたら、どーでしょう。
「すーごくムカついて、どーしても許せないほど、とーても悪い奴なら、
なーるべく痛くないやり方で、殺害しましょう。
それにより、殺人罪に問われるようなことは、絶対にないので、安心してください。
悪い奴は殺されるべきだったのです。」

 安倍総理の言葉を聞いていると、形容詞が気になる。
 べつに省いても大意に影響が無いもんなので、目くじら立てるほどのことではないのだけれど、昨年、閣議決定された新三要件から、どーにも気になって仕方がない。
 「権利が根底から覆される明白な危険があること」
 「根底から」とか「明白な」とか、要らなくね?
 武力を行使するようなシビアな事態に直面した際の決まり事にしちゃ、「解釈の幅」が大きすぎやしないか。「閣議決定」という固いイメージに文章が馴染んでない、という違和感アリ。

 同じく、重箱の隅っぽくて恐縮なんだけど、「解釈の幅」という意味では、抽象的な表現が多いことも気にかかる。
 「密接な関係にある他国」「我が国の存立が脅かされ」「根底から覆される」「必要最小限度の実力行使」など。抽象的な言葉は演繹されて実用されるわけだが、緊急事態を想像した時、これまた「何も言ってない」に等しい言葉達ではなかろーか。

 「何も言ってない」という意味では、安倍総理の断定的な口調も気にかかる。
 「同盟国である米国の戦争に巻き込まれることは『絶対にありえない』」、「戦争法案などといった無責任なレッテル貼りは『まったくの誤り』であります」、「憲法違反では『無い』」、「集団的自衛権で日本の抑止力が『高まった』」、「その不安をお持ちの方に、ここで、はっきりと申し上げます。そのようなことは『絶対にありません』」など。
 前にも後ろにも、断定を補強する論理的解説があるわけではなく、「キリッ」とした安倍総理の表情の前で、私の漠然とした疑問が置き去りにされていく。
 この断定(キリッ)は、事実なのか、意見なのか、願望なのか、あるいはそれらが「ゴチャマゼになったもの」なのか。

 そうかも、「ゴチャマゼになったもの」なのかもしれない。
 2006年、 吉井英勝議員の原発事故防止関連の国会質問に安倍総理は「そうならないよう『万全の態勢を整えている』」と断定(キリッ)した。5年後、福島原発は吉井議員が指摘した通りの全電源喪失による過酷事故に至るわけだが、とりたてて撤回もされない2006年の「断定」(キリッ)は、やはり、事実や意見や願望がゴチャマゼになっていて、「いや、あれはまあ、こーだったらいーなあ、という願望を述べたまで、ですから」というふうに片付けられたとしか、理解しようがない。

 2012年の衆議院選挙、「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。 日本を耕す自民党」を掲げ、与党に返り咲いた安倍総理は、最近になってTPPについて「日米の合意は近いと思うが、さらに進むことを『期待している』」「両国にとって極めて有益であるという認識を『一致させたい』」「日米両国のリーダーシップでこのTPP交渉を『成立させたい』」と述べている。
 これを「ウソつき」で片付けてしまっては、ここまで論じてきた甲斐がない。
 「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。」 これを安部総理は、事実や意見や願望をゴチャマゼにして断定(キリッ)していたのではないか、と推測してみたい。

 ウソは事実ではなかった時に「ウソ」になる。これに対して、意見は間違う時もあれば、願望は叶わぬ時もある。間違えたって意見は「意見」だし、叶わなくたって願望は「願望」だ。どこに過失があるというのか。
 同様に、意に反して原発が爆発してしまうこともあれば、TPP締結が必要になることもある。だからといって、ウソをついたわけではない。ウソをついたことなどない。一貫してる。だからこそ、これまでも、そしてこれからも、断定(キリッ)ができるのだ。

 といったロジックはこれを読む人には理解されないかもしれない。しかし、安部総理が国民に望んでいるのは「理解」ではなく「共感」だとすれば、上記ロジックに瑕疵があることは、さしたる問題ではない。(キリッ)

 戦争だろうと竜巻だろうと、巻き込まれるか否かの全裁量が自分にあるわけではない。レッテルが誤りか否かは不当性の主張を見聞きした人、それぞれが判断する。憲法違反か否かは、最高裁判所が決める。集団的自衛権で日本の抑止力が高まったか否かは、抑止される国にしか分からない。不安な人が「絶対ありません」と言われて安心するとは限らない。(余計に不安になる人の方が多いのでわ)
 そんな小市民的正論が消し飛んでしまうほど、安部総理の断定(キリッ)には威力がある。事実や意見や願望がゴチャマゼになって「現実」を作り出す様は、旧約聖書 創世記 第1章 、天地創造のように壮観だ。
 「神は言われた。『光あれ。』 こうして、光があった。」てやつ。
 やがて、従軍慰安婦も、TPP反対の公約も、「事実」ではなくなるのだろう。GDPで中国に抜かれたことも、日米地位協定も、敵国条項も、原発事故も、太平洋戦争の敗戦も、「現実」ではなくなる日がくるのかもしれない。
 なぜなら、安倍総理がそれを望むのだから。

 一部の国民の痛みは「事実」誤認であり、行政は「現実」に沿って粛々と執り行われなくてはならない。
 「外国によって押し付けられ」、「70年間変更されず」、「現実に合わなくなってきた」日本国憲法の方が、安保法制懇の報告書より、論理として明快で、理念として実用的、何より文章として美しく感じられるのは、私が安部総理と「現実」を共有していないからであり、彼とは別の「現実」を生きているから、なのだろーよ。




参考:
新三要件
・我が国に対する武力攻撃が発生したこと、又は我が国と密接な関係にある他国に対する武力攻撃が発生し、これにより我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険があること
・これを排除し、我が国の存立を全うし、国民を守るために他に適当な手段がないこと
・必要最小限度の実力行使にとどまるべきこと


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コメント
No title
なんて、書いている先から、安倍総理、
「ポツダム宣言なんか、知らねーよ、だって、オレ、読んでないもん」
みたいな発言があったそうでw

ポイントは、彼がそれを読んでないことではなく、
「オレが読んでない以上、存在しないも同然」
と、考えているように見えないか?
てことが、今回のブログで言いたかったことでありんす。
タイムリーw
2015/05/20(水) 21:31 | URL | みうらのま #-[ 編集]
No title
平野さん論説の「低機能の〝ウソ発見器〟でも反応するだろう」を読んでふと
「安倍さん、野党やその支持者たちはアナタの言葉を頭から疑ってかかってる不逞な輩なので、国会答弁時に嘘発見器つけてその数値をリアルタイムで流してマコトゴコロをぜひ証明してください!」
とやったらどうかと思ったんですが
本人に嘘を言っている自覚がないとしたら、企画倒れですねぇ(^^;)ザンネン
2015/05/21(木) 21:08 | URL | anndue #-[ 編集]
No title
虚言癖のある人て、自分で自分を信じてるから、
うそ発見器、意外と反応が小さいかも。
「齟齬はあったかもしれないが、ウソをついたわけではない。
私はそういうつもりで言ったのではなかったのだ」
て、本気で思える・・・、てまあ、病気だね、一種の。
もう、だいぶ前からワタクシ、
そういう前提で、見てるんです、あの人のこと。
2015/05/21(木) 22:49 | URL | みうらま #LkZag.iM[ 編集]
No title
自身の発言の「齟齬」に気づくほど緻密に物事考えてるようにも見えないですしね(^^;)
2015/05/22(金) 11:44 | URL | anndue #-[ 編集]
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