「国民の生活が第一、自立と共生、政治の根本について多摩地区で議論する広場」

<田吾作の声> 『火垂るの墓』 NO.223

 高畑勲が亡くなった。追悼番組で彼が手掛けた『火垂るの墓』がテレビ放映された。小生がこのアニメを最初に見たのは友人が貸してくれたDVDであり、当時の感動を思い起こした。原作が野坂昭如であったことも意外に感じたものだ。
 飢餓という事態が想像しづらくなり、肉親との関係も変化し、平和そのものの意味さえ曖昧になった現在、戦争の本質を理解させ改めて生きることの意味を考えさせる作品に思わず涙した。
 子供の幸せの小さな象徴として描かれたサクマドロップだが、加工食品が氾濫した豊な消費社会に生きる我々に「これでいいのか」と問うているようだ。残された多くの餓鬼と化した戦争孤児は厄介者として扱われ不幸な人生をおくらざるを得なかった。住民を戦争協力に動員した隣組も孤児への対応は冷たく、人目を忍んで泥棒行為をした話も出てくる。全ては生きるためだ。セツコを必死で支えようとする主人公、たった一人の肉親である兄を慕う妹のつながりは、家族や社会とは何かを改めて考えさせる。
 後年の野坂の回想によると妹との関係は本に書いたような綺麗なものでなく食い物を独り占めしたような行為もあったという。そのことの慚愧の念が作品へ昇華したし、心底から戦争を繰り返してはならないという思いに駆られたのだろう。
 庶民が最底辺で喘いでいる一方で、敗戦後渋谷の南平台で戦争犯罪人ながら米軍に命乞いし、アメリカのエージェントとして悠々と暮らす岸信介が居た。そこで何不自由なく育ったシンゾウが庶民の気持ちや生活を知る訳がない。知るための想像力も持ち合わせない。
 無念の思いで死んだセツコはホタルとなって飛んでいる。共に舞う無数のホタルは自分たち戦争孤児を忘れないでと訴えている。
(2018.4.19)
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<みうらのま>言葉と文書を食い荒らす虫

森加計問題にはウンザリしていても、霞が関の腐敗ぶりには日々、新鮮な衝撃を受けている。

会わなかったことにする、それでダメなら、言わなかったことにする、それでダメなら、そういう意味じゃない、とする。
文書を捨てたことにする、それでダメなら、改ざんする、それでダメなら、調査中にする。

やっていることは、男子中学生がベッドの下にエロ本を隠すくらい単純なのだけれど、エロ本以外に覚せい剤や拳銃が続々と発見されたかのような、刺激的で絶望的な毎日だ。

法的に重大な事と、本質的に重要な事とは異なる。でなにが本質かは、人それぞれ。
私にとって森加計問題の本質は、異様な国体思想を持つカルト集団に日本が支配されつつある、ということに尽きる。行政システムの中枢が支配されたという意味では、寄生虫が宿主の脳を操るさまを連想してしまい、オーム真理教のときよりも強い危機感を感じる。

「関係してたら首相を辞める」「1月20日に初めて知った」などの臆病から出た虚勢が、周囲の意思決定や行動を誤らせ、拡大し、国家を不合理に導いていく流れが、二・二六事件から敗戦に至る近代史を彷彿させる。

政治家は言葉、行政は文書。これが同時に侵されているのは、どうやら偶然ではない。
これが個人の性向なら反知性主義で済むけれど、行政の中枢でこの過程が進行しているのだ。不健全な意志が生体の中枢に作用しているとしか思えない。

ロイコクロリディウムという寄生虫はカタツムリの脳を操り、本来の習性に反して、昼間に木の枝の先端を歩かせるような、鳥に食べられやすいよう行動をさせるのだという。

見上げれば曇天の空の下、白頭鷲が旋回しているようで、なんとも、重い苦しい気持ちに酒量が増えてしまいがち。



<田吾作の声> 心ときめく翔平の生き方   NO.222

 大リーグ大谷翔平選手の活躍から目が離せない。ベースボールの本場だけに高いレベルでのプレーが求められるが、打つほうでも投げるほうでも予想以上の結果を残している。現地での評価もうなぎ上りで日本人として誇り高い気持ちになるから不思議だ。
 彼の特長が二刀流にあることは言うまでもないが、それが近代野球に対するアンチテーゼになっていることが愉快にする。投走打で成り立つ野球だが誰しもが少年時代は投手で4番打者に憧れたし、事実高校野球まではエースで4番は珍しくない。それがプロ野球になると投手と野手に分けられるのが普通となり、二刀流は邪道と見られてきた。
 投手と野手の分業化が進んだことは安打やホームラン数などの打撃部門、多彩な変化球やスピードなど投球部門での向上をもたらした。産業が発展する要因としての分業化が野球界でもすすめれたことで発展したと言えるかも知れない。機械的な投球数の制限、投手自体の分業化なども一般化し、投げないで敬遠する申告四球まで合理化が進んできている。現在の野球は近代化野球と呼ぶべきかも知れない。要はゲーム盤でやる野球と余り変わりがない。先進地アメリカでは球場に足を運ぶ観客数が減少する傾向があるという。
 大谷選手の渡米に際しては、25歳まで待てば数万ドルの大金が獲得できたのに勿体無い、と呆れる声が国内外に多かった。日本のプロ野球が大リーグの下請け化している現実を受け入れたくない著名な愛国的解説者までが、二刀流は上手くいかないから止めろとアメリカの関係者と同じ主張をするなど面白い現象も起きた。
 カネが全てと考える資本主義の亡者が溢れる中で、純粋な野球少年の生き方が心を捉える。
(2018.4.11)

<田吾作の声> 寂しい蚊帳の外   NO.221

 米中の間で貿易摩擦が激化している。戦争と表現するメディアもある。発端はトランプがアメリカの貿易赤字削減策として、要因となっている対米貿易黒字国への輸入制限を打ち出したことにある。鉄鋼とアルミニウムを対象にしたが、中国が反発し対抗措置として果物など128品目に最高25%の上乗せ関税をすると応じた。ところがアメリカは知的財産権侵害への対抗措置として約1300品目の中国製品に関税引き上げを課すと表明。これに対し中国は大豆や航空機などで報復する構えを見せている。
 大国同士の覇権争いであり、新たな帝国主義「戦争」と解して冷ややかに眺めるしかないだろう。それにしても事の善悪は別にして主権国家として中国の姿勢は理解できる。WTOを始めとした国際的な貿易ルールに従って進めてきた経済活動を、赤字が増えて面白くないとしルールそのものをアメリカの有利なように変更せよと迫るのだから反発するのは当然なことだ。
 ところでアメリカは例外なく日本にも制裁を課すという姿勢だ。これまでトランプに懐疑的な欧州諸国を横目にシンゾウは特別な関係を作り上げたと自負してきた。ゴルフ道具も贈った、トランプの娘の基金に多額の寄付をした、ペンタゴン言いなりの高額な北朝鮮ミサイルへの迎撃システムの買い付けた、と次々に狂人トランプへの恭順を示してきた。
 今回のトランプの横暴にシンゾウは日本を例外にするよう粘り強く懇願するというから屈辱的である。どう見ても独立国としての態度ではない。世界3位の経済大国が聞いて呆れる。
 米中は水面下で交渉しているというから、トランプの思うままに結論が出ることはあり得ない。かくて日本は北朝鮮問題と同じく蚊帳の外に置かれる。
(2018.4.6)

<みうらのま>  佐川を憐れむ歌

元財務省理財局長、佐川氏の証人喚問で賑やかな一週間だった。
あまり賑やかなので、集団リンチのようにも見えて、トカゲの尻尾状態の彼を憐れむ声も聞こえる。しかし、真相究明に手心を加えるわけにはいかない。
だいたい、自主的に切られにいった尻尾じゃないか。
とはいうものの、それでも、やはり・・・

前川前事務次官は佐川氏に「本当のことを話して幸せになれ」という。
大手企業の御曹司である前川氏から、学費を兄に頼って進学した佐川氏へ大手新聞を通して諭すように語られる正論が、どことなくマリー・アントワネット。だって・・・

彼の人生設計に組み込まれていたであろう退職後の年収は数億から数千万に急落して、今はそれすら懲戒処分で心許なく、実刑判決でも出れば、積み上げた社会的地位は地を這う如し。
国税庁長官に上り詰めてから、わずか半年。朝日のスクープから、わずか1ヶ月。彼を飲み込んだ激流を思うとき、腐った流木に全力でしがみつく佐川氏を、誰が責められよう。それにしても・・・

彼が身を挺して麻生大臣を守ったとして、麻生セメントが彼に顧問の椅子でも用意するだろうか。身を挺して安倍総理を守ったとして、歴史の改ざん者として歴史に名を残し量刑に見合うだけの報酬が、官房機密費から支払われるだろうか。
それでもまあ、死ぬよりはマシか、などと忖度、じゃない推量してしまうのは・・・

現在の状況って、ひと昔前までなら義憤に駆られた右翼を自称する人が登場して、生命と事実を闇に葬る段階だと思うから。オーム事件の村井秀夫氏、豊田商事の会長、ロッキード事件ではセスナが民家に突っ込んだみたいに。
ところが、そんなことが起きるような気がちっともしないのは、前々回指摘したように、右翼や左翼なんて現実には絶滅寸前で、あるのはウゼーヨとイタイヨの対立。そして、ウゼーヨには殺傷事件の犯行に足る忠誠心も義侠心も、集中力も行動力も、まるでありゃしないからだ。とはいうものの・・・

証人喚問後に安倍総理が言った「あとは国民が判断」には同意する。大阪地検の捜査でさえ、世論次第だろう。そしてその鍵を握っているのは、やはり、ウゼーヨなのだと考えている。
新宿や霞ヶ関に集まる人たちが、原発デモの頃のイタイヨから、安保法制や共謀罪を経て、少しづつ、ウゼーヨにシフトしている気がするのは、私自身の鑑だからか。

プロフィール

日本一新の会 (多摩出張所)

Author:日本一新の会 (多摩出張所)
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当出張所では 日本一新の会の皆様の寄稿を随時、募集中であります。よろしくお願い致します。


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